□ 債権の消滅―相殺
□ 相殺の要件
〇 債権が対立していること
〇―2 対立する債権が同種の目的を有すること
金銭債権を念頭に置けば足りるのではないでしょうか。
履行地が異なることや両者の債権額が異なることは支障にはなりません。
〇―3 双方の債権が弁済期にあること
弁済期にない債権を相殺の対象にすると弁済期前に強制的に弁済させる
ことになる場合があるからです。
相殺しようとする甲の乙に対する債権(自働債権)は、弁済期にないが
甲が負担する乙に対する債務(受働債権)は、弁済期にある場合
甲が相殺することはできない、ということです。
逆に自働債権は弁済期にあるが、受働債権は弁済期にない場合は
甲は弁済できます(甲が弁済すれば乙は満足するはず)
〇―3 債権の性質が相殺を許すものであること
・自働債権に同時履行の抗弁権が付着している債権は、相殺できません。
(同時履行の抗弁権 = 中古自動車を買った人が売主に自動車の引渡しを
要求した。売主は代金の支払いと同時でなければ引渡さない、と反論した。
この反論をいいます。)
同時履行の抗弁権の付着した債権を自働債権とする相殺を許すと
相手方の抗弁権を行使する機会を失わせることになる。
受働債権の場合は、「弁済期の場合のように」相殺する者は放棄することが
できるので、相殺は可、となります。
・当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときは
相殺できません。
ただし、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって
知らなかったときに限りその第三者に対抗できる。
甲の乙に対する債権(相殺禁止の特約あり)を丙に譲渡したとします。
(対抗要件具備)
第三者丙が、相殺禁止特約について知り(悪意)又は重大な過失によって
知らなかったときは、乙は第三者丙に対抗できます。
逆に言えば、善意で重過失の無い第三者には対抗できない、となります。
(善意かつ重大な過失なしのとき)
〇―4 相殺が禁止される場合
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