□ 債権の消滅ー相殺
□ 相殺が禁止される場合(法律上)
例えば、交通事故の加害者が、たまたま
被害者に売掛債権を有していたとします。
このとき加害者が、加害者が負う損害賠償債務と
売掛債権を相殺すると言いだしたらどうでしょう。
被害者の救済を考えると現実に賠償する必要が
あるのではないでしょうか。
このような点等から相殺が禁止される場合が
規定されています。
〇 不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止
(不法行為により生じた債権を自働債権とする相殺は可です。
(被害者が現実の給付は不要です、と言っているから))
次に掲げる債務の債務者(上の不法行為の加害者)は
、相殺をもって債権者(不法行為の被害者)に対抗できない。
・悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
(「悪意」なので過失の場合は相殺可)
・人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務
人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務には
債務不履行による損賠も入ります。
(文章には、一括して不法行為と記述)
ただし、
不法行為による債権(受働債権)を譲り受けた者に対しては
受働債権の債務者(加害者)は、その譲り受けた者に対して
債権を有するときは、相殺できます。
(被害者ではないので現実の弁済不要)℮
〇―2 差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止
〇―3 差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止