今日のメモ(第三者のためにする契約)

□ 債権―契約ー第三者のためにする契約

□ 第三者のためにする契約

 甲が乙に自動車を売却し、乙はその代金を丙(第三者)に

支払うことを内容とする契約を結んだ。

これが第三者のためにする契約です。

 

〇 契約(甲、乙間)により当事者の一方(乙)が

三者(丙)に対して

ある給付をすることを約した時は、

その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する

権利を有する。

 

・甲=要約者、乙=諾約者(債務者)、丙=受益者といいます。

・第三者のためにする契約は、

その成立の時に第三者が現に存しない場合又は

三者が特定していない場合であってもその効力を妨げられない。

・甲乙間の契約が虚偽表示にあたる場合は、無効です。

(丙は、善意の第三者ではない)

 

〇―2 第三者(丙)の権利

・第三者の権利は、第三者が債務者(諾約者)に対して

契約の利益を享受する意思を表示(受益の意思表示)した時に発生する。

・第三者の権利が発生した後は、当事者(甲、乙)は、

契約の内容を変更し、又は消滅させることができない。

また、(第三者の権利が発生した後)

債務者が第三者に対する債務を履行しない場合

契約の相手方(甲、要約者)は、第三者の承諾を得なければ

契約の解除はできない。

・債務者は、契約した「第三者のためにする契約」に基づく抗弁を

もって契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。

                          ℮0001

 

 

今日のメモ(危険負担)

□ 債権―契約―危険負担

□ 危険負担

 双務契約において、

一方の債務が債務者の責めによらない事由によって

履行不能となった場合に

他方の債務は消滅するか否かという問題が

危険負担の問題となります。

※(双務契約=当事者双方が対価性のある債務を負担する契約)

家屋の売買契約において、契約締結後、その引渡し前に

地震によって家屋が滅失した場合、買主の代金支払い債務は

どうなるか、の問題です。

 

〇 その処理

1 当事者双方の責めに帰することができない事由によって

債務を履行することができなくなったときは、

債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

上の家屋の売買の例では、

買主は、代金の支払いを拒むことができます。

代金の支払いを拒絶できる、であり、

債務そのものは消滅していないので

債務を免れるため(代金の支払いを免れる)には

契約を解除すればよい、となります。

(損害賠償の責任は問えません)

(契約の解除は、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由

によるものであるときは、契約の解除をすることができない)

(支払い拒絶は、契約の解除をするまでの問題となる)

(売主の債務(家屋の引渡し)は、履行不能となり消滅します)

 

2 債権者の責めに帰すべき事由によって

債務を履行することができなくなったときは、

債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。

(債務者(例 売主)には帰責事由がないが

債権者(買主)にある場合の話です。)

買主(債権者)は、代金を支払わなければなりません。

ただ、この場合において、債務者は、自己の債務を

免れたことによって利益を得たときはこれを

債権者に償還しなければなりません。

(契約の解除はできない)

※ 債権者=売買において引渡すべき物について考え

買主が債権者。( 売主が債務者)  ℮1100

 

今日のメモ(同時履行の抗弁権)

□ 契約の効力ー同時履行の抗弁権ー2

 双務契約の当事者の一方は、

相手方がその債務の履行を提供するまでは、

自己の債務の履行を拒むことができます。

これを同時履行の抗弁権といいます。

例えば、

代金の支払いと領収書の発行は同時履行の関係にあり、

債務者は代金の支払いと引き換えに領収証の発行を要求でき

もし、それが拒否されたら代金の支払いを拒絶できます。

拒絶しても債務不履行とはなりません。

 

□ 要件

〇 同一の双務契約から生じた対立する債務の存在

(もともと両者が債務を負っている場合に

その債務の履行は同時に履行した方が公平だ、

との観点から認められたもの。対立する債務の存在は当然。)

 債権譲渡があった場合でも、債権の同一性はあるので

債務者は、同時履行の抗弁権を失わない。(対立している)

債務引受けも同じである。

 

甲(売主)の乙(買主)に対する売買債権を丁に譲渡した。

乙は丁に同時履行の抗弁権を主張できる。

(そうでないと乙は代金は支払ったけれど商品はもらえないかも

ということになる)

 

〇―2 相手方の債務は弁済期にあること

相手方の債務が履行期にないときは、

「同時に履行だ」、の関係にはなりません。

(強制的に履行させるのと同じになる)

 

 一方の債務甲が先履行で、他方の債務乙は後履行である場合は、

甲は先に履行すべきであり乙の請求あっても同時履行の抗弁権は

存在しません。

しかし、その後、甲の遅滞中に乙の弁済期が到来した時は、

甲は同時履行の抗弁権を主張できます。

(認めないと公平でない場合が生じうる)

 

〇―3 相手方がその債務の履行を提供しないで履行の請求をすること

 自己の債務の履行の提供をせず反対債務の履行を請求することです。

(買主が自分は代金の提供をせずに売主に物の引渡しを請求すること)

 こういう場合に売主は、同時履行の抗弁権を主張できます。

ただし、

弁済の提供は、継続していないと同時履行の抗弁権を封じえません。

売主が一度弁済の提供をして相手方の同時履行の抗弁権を消しても

次に履行の催告をするときも弁済の提供をしないと

相手方の同時履行の抗弁権を封じえません(債務不履行になしえない)。

 

 もし、契約の解除を望むのであれば弁済の提供は上の一度でたり

改めての催告(催告による解除541)に際して弁済の提供は不要です。

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今日のメモ(同時履行の抗弁権)

□ 債権―契約―契約の効力

□ 契約の効力ー同時履行の抗弁権

 双務契約の当事者の一方は、

相手方がその債務の履行を提供するまでは、

自己の債務の履行を拒むことができます。

 

・双務契約⇒当事者双方が債務を負う契約であり

一方の債務があるから他方の債務もある、という

関係があります。

例 売買契約 

売主の物を引渡す債務と買主の代金支払債務

 

双務契約は

・一方が成立しなければ他方は成立しない、

・一方の債務の履行は他方の債務の履行と同時履行であるべし、

・一方の債務が消滅すれば他方の債務も消滅する、

となりますが、法改正により修正があるようです。

 

同時履行の抗弁権は、特約の無い限り

債務の履行は、同時に履行することが公平の観点から

妥当とされたものといえます。

 

〇要件

・ 同一の双務契約から生じた相対立する債務の存在

・ 相手方の債務が弁済期にあること

・ 相手方が自己の債務の履行の提供をせず履行を請求すること

 

〇―2 効果

・ 同時履行の抗弁権により、自己の債務の履行を拒むことができます。

裁判において同時履行の抗弁権が主張された場合は、引換給付判決

となります。

(土地代金の支払いと引き換えに所有権移転登記手続きを命じる判決)

 

・同時履行の抗弁権を有する者は、債務不履行とはならずその責任を

問われません。

消滅時効については履行期が到来すれば進行します。℮ー1001

 

 

 

今日のメモ(契約)

□ 債権―契約

□ 契約

〇―2  契約の成立

 

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示

(申込)に対して相手方が承諾をしたときに成立します。

 

2-1 申込

 相手方の承諾があれば、契約を成立させようとする意思表示

をいいます。 

その効力発生時期は、原則、相手方に申込みの意思表示が到達した時です。

そして、

 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、

又は行為能力の制限を受けた時であっても、

そのためにその効力を妨げられない、となっています。

(例えば、申込は有効であり、その後は相続の問題となります。)

 

ただし、例えば、

申込の相手方が死亡の事実を知っていた場合などは、

相手方の信頼の保護の必要性はないと思われ例外の規定があります。

 

申込者が申込の通知を発した後に死亡し、

意思能力を有しない常況にある者となり

又は行為能力の制限を受けた場合において

申込者がその事実が生じたとすればその申込は効力を生じない旨の

意思表示をしていたとき、又は

その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知った時

は、その申込はその効力を有しない。

 

2-2 承諾の期間の定めのある申込

 申込が相手方に到達すると申込者は勝手に申込を撤回できません。

(相手方の保護)よって

・承諾の期間を定めてした申込は、撤回することができません。

ただし、撤回権を留保したときはこの限りでない。

申込者が承諾の期間内に承諾の通知を受けなかったときは

申込は効力を失う。

 

2-3 承諾期間の定めのない申込

 承諾の期間を定めないでした申込は、

申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、

撤回することができない。

ただし、撤回する権利を留保した時はこの限りでない。

 

・対話者に対してした申込は、対話が継続している間は、

いつでも撤回することができる。

・対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかった時は

その効力を失う。

(申込者が終了後も申込みは効力を失わない旨の表示をしたときは、

効力を失わない)

 

2-4 承諾

承諾は

特定の申込に対して契約を成立させるためにする意思表示です。

当然に契約の内容は、申込の内容と同じです。

 もし、承諾者が申込に条件を付すなど変更を加えて承諾した時は

申込の拒絶とともに新たな申込をしたものとみなされます。

 

承諾の効力発生時期は、原則通り、到達時です。(=契約の成立)

 

承諾の通知が遅延した場合(契約は成立しない)、

申込者は

遅延した承諾を新たな申込とみなすことができます。℮10010

 

 

 

 

今日のメモ(債権―契約)

□ 債権―契約

□ 契約

〇 契約とは、対立する2つ以上の意思表示が

合致して成立する法律行為をいいます。

この自動車を00円で売りましょう。買いましょう、

とお互い納得するのが契約となります。

 

 何人も、法令に別段の定めがある場合を除き、

契約を締結するかどうかを自由に決定することができる。

また、契約の当事者は、法令の制限内において、

契約の内容を自由に決定することができる。

 

 私的自治の原則のもと契約の自由の原則といえます。

契約の内容も当事者が自由に定め得ます。

自由に定め得るけれども次のような定めもあります。 

公序良俗に反する法律行為は無効であり

・権利の行使、義務の履行は信義に従い誠実に行わなければ

ならず

・権利の濫用は許されません。

 

〇―2  契約の成立

契約は申込と承諾の合致によって成立します。

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示

(申込)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

そして、契約の成立には書面の作成その他の方式を要しない。

法令に特別の定めがある場合を除きます。

例えば、保証契約は書面でしなければ効力を生じない、と

なっています。 ℮-0000101

 

今日のメモ(債権の消滅―更改)

□ 債権の消滅―更改

□ 更改

当事者が従前の債務に代えて、

新たな債務を発生させる契約(更改)をしたときは、

従前の債務は消滅します。

(契約をすれば効力が生じる)

〇 新たな債務=次に掲げるものを発生させる契約

・従前の給付の内容について重要な変更をするもの

・従前の債務者が第三者と交替するもの

・従前の債権者が第三者と交替するもの

 

〇―2 債務者の交替による更改

債権者と更改後に債務者となるものとの契約ですることができる。

(旧債務者の意思を問わない)

(債権者、債務者、新債務者の3当事者でももちろんできる)

この場合においては、債権者が更改前の債務者に対して

契約をした旨を通知した時に効力生じる。

 

また、更改後の債務者は、更改前の債務者に対して求償権を

取得しない。

 

〇―3 債権者の交替による更改

 更改前の債権者、更改後に債権者となるもの及び債務者の契約に

よってすることができる。

債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ

三者に対抗することができない。

 

〇―4 更改後の債務への担保の移転

 債権者は、例えば、更改前の債権について抵当権を有していた場合

その抵当権を更改後の債権に移すことができます。

 

債権者(債権者の更改では更改前の債権者)は、

更改前の債務の目的の限度において、

その債務の担保として設定された質権又は抵当権を

更改後の債務に移すことができる。(債権者が単独で可)

ただし、その担保が第三者の設定したものである場合は、

その者の承諾を得なければならない。

 この移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方

(債権者更改では債務者)

に対してする意思表示によってしなければならない。℮