今日のメモ(同時履行の抗弁権)

□ 契約の効力ー同時履行の抗弁権ー2

 双務契約の当事者の一方は、

相手方がその債務の履行を提供するまでは、

自己の債務の履行を拒むことができます。

これを同時履行の抗弁権といいます。

例えば、

代金の支払いと領収書の発行は同時履行の関係にあり、

債務者は代金の支払いと引き換えに領収証の発行を要求でき

もし、それが拒否されたら代金の支払いを拒絶できます。

拒絶しても債務不履行とはなりません。

 

□ 要件

〇 同一の双務契約から生じた対立する債務の存在

(もともと両者が債務を負っている場合に

その債務の履行は同時に履行した方が公平だ、

との観点から認められたもの。対立する債務の存在は当然。)

 債権譲渡があった場合でも、債権の同一性はあるので

債務者は、同時履行の抗弁権を失わない。(対立している)

債務引受けも同じである。

 

甲(売主)の乙(買主)に対する売買債権を丁に譲渡した。

乙は丁に同時履行の抗弁権を主張できる。

(そうでないと乙は代金は支払ったけれど商品はもらえないかも

ということになる)

 

〇―2 相手方の債務は弁済期にあること

相手方の債務が履行期にないときは、

「同時に履行だ」、の関係にはなりません。

(強制的に履行させるのと同じになる)

 

 一方の債務甲が先履行で、他方の債務乙は後履行である場合は、

甲は先に履行すべきであり乙の請求あっても同時履行の抗弁権は

存在しません。

しかし、その後、甲の遅滞中に乙の弁済期が到来した時は、

甲は同時履行の抗弁権を主張できます。

(認めないと公平でない場合が生じうる)

 

〇―3 相手方がその債務の履行を提供しないで履行の請求をすること

 自己の債務の履行の提供をせず反対債務の履行を請求することです。

(買主が自分は代金の提供をせずに売主に物の引渡しを請求すること)

 こういう場合に売主は、同時履行の抗弁権を主張できます。

ただし、

弁済の提供は、継続していないと同時履行の抗弁権を封じえません。

売主が一度弁済の提供をして相手方の同時履行の抗弁権を消しても

次に履行の催告をするときも弁済の提供をしないと

相手方の同時履行の抗弁権を封じえません(債務不履行になしえない)。

 

 もし、契約の解除を望むのであれば弁済の提供は上の一度でたり

改めての催告(催告による解除541)に際して弁済の提供は不要です。

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