今日のメモ(債権の消滅-相殺)

□ 相殺とは

 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合

において

双方の債務が弁済期にあるときは、

各債務者はその対等額について相殺によって

その債務を免れることができる(505)。

 

〇 相殺の方法、効力

・相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示

によってします。

 一方的な意思表示によってするので条件や期限を

つけることはできません。

 

・相殺の効力は、双方の債務が互いに相殺に適するように

なった時に遡って生じる。

 

 

 

 

今日のメモ(債権の消滅-相殺)

□ 相殺とは

 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合

において

双方の債務が弁済期にあるときは、

各債務者はその対等額について相殺によって

その債務を免れることができる(505)。

 

□相殺が禁止される場合

〇―3 差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止

 差押えを受けた債権の第三債務者は、

差し押さえ後に取得した債権による相殺をもって

差押え債権者に対抗することはできない、が

差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することが

できる。

 

債権者甲、債務者乙、債務者乙の債務者丙(第三債務者)

とします。

甲が乙の丙に対する債権を差し押さえた。

丙は、差押以前から乙に対して債権(反対債権)を有していた。

こういう場合、第三債務者丙は、

相殺をもって差押債権者甲に対抗することができます。

(債務がなくなったと主張できる)

 

丙の乙に対する債権が差押後に取得したものであるときは

相殺をもって差押債権者に対抗できません。が

その債権が差押前の原因にに基づいて生じたものであるときは

相殺をもって差押債権者に対抗できる、となっています。

ただし、丙の債権が他人の債権を取得したものであった場合は

相殺をもって対抗できない。

(差押前の原因に基づいていたとしても)

 

 

 

 

 

今日のメモ( 債権の消滅 相殺)

□ 債権の消滅 相殺

( 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合

双方の債務が弁済期にあるときは、

各債務者はその対等額について相殺によって

その債務を免れることができる(505))

 

□ 相殺が禁止される場合

〇―2 差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止

 債権が差し押さえを禁じたものであるときは、

その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することが 

できない。

従業員が会社に対して有する賃金債権(受働債権)と

会社が従業員に対して貸金債権(自働債権)を有して

いたとしても、会社は相殺できない、ということです。

(給料は、現実に支払われないと生活ができない等

従業員にとって困ることになる)

反対に、従業員が相殺してくれということはできる。

(自働債権とすることは可)

 

・差押えが禁止される債権の例

  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びに

これらの性質を有する給与に係る債権

民事執行法による例、他に個々の法令によるものあり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇―3 差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止

 

 

相殺(今日のメモ)

□ 債権の消滅ー相殺

□ 相殺が禁止される場合(法律上)

 例えば、交通事故の加害者が、たまたま

被害者に売掛債権を有していたとします。

このとき加害者が、加害者が負う損害賠償債務と

売掛債権を相殺すると言いだしたらどうでしょう。

被害者の救済を考えると現実に賠償する必要が

あるのではないでしょうか。

このような点等から相殺が禁止される場合が

規定されています。

 

〇 不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止

不法行為により生じた債権を自働債権とする相殺は可です。

(被害者が現実の給付は不要です、と言っているから))

 

 次に掲げる債務の債務者(上の不法行為の加害者)は

、相殺をもって債権者(不法行為の被害者)に対抗できない。

 ・悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務

  (「悪意」なので過失の場合は相殺可)

 ・人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務

人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務には

債務不履行による損賠も入ります。

(文章には、一括して不法行為と記述)

ただし、

不法行為による債権(受働債権)を譲り受けた者に対しては

受働債権の債務者(加害者)は、その譲り受けた者に対して

債権を有するときは、相殺できます。

(被害者ではないので現実の弁済不要)℮

 

〇―2 差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止

〇―3 差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止

 

 

 

 

今日のメモ(相殺)

□ 債権の消滅―相殺

□ 相殺の要件

〇 債権が対立していること

〇―2 対立する債権が同種の目的を有すること

 金銭債権を念頭に置けば足りるのではないでしょうか。

履行地が異なることや両者の債権額が異なることは支障にはなりません。

 

〇―3 双方の債権が弁済期にあること

 弁済期にない債権を相殺の対象にすると弁済期前に強制的に弁済させる

ことになる場合があるからです。

 相殺しようとする甲の乙に対する債権(自働債権)は、弁済期にないが

甲が負担する乙に対する債務(受働債権)は、弁済期にある場合

甲が相殺することはできない、ということです。

 

 逆に自働債権は弁済期にあるが、受働債権は弁済期にない場合は

甲は弁済できます(甲が弁済すれば乙は満足するはず)

 

〇―3 債権の性質が相殺を許すものであること

・自働債権に同時履行の抗弁権が付着している債権は、相殺できません。

(同時履行の抗弁権 = 中古自動車を買った人が売主に自動車の引渡しを

要求した。売主は代金の支払いと同時でなければ引渡さない、と反論した。

この反論をいいます。)

 同時履行の抗弁権の付着した債権を自働債権とする相殺を許すと

相手方の抗弁権を行使する機会を失わせることになる。

受働債権の場合は、「弁済期の場合のように」相殺する者は放棄することが

できるので、相殺は可、となります。

 

・当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときは

相殺できません。

 ただし、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって

知らなかったときに限りその第三者に対抗できる。

 

 甲の乙に対する債権(相殺禁止の特約あり)を丙に譲渡したとします。

対抗要件具備)

三者丙が、相殺禁止特約について知り(悪意)又は重大な過失によって

知らなかったときは、乙は第三者丙に対抗できます。

 逆に言えば、善意で重過失の無い第三者には対抗できない、となります。

(善意かつ重大な過失なしのとき)

 

〇―4 相殺が禁止される場合

 

 

 

相殺の要件(今日のメモ)

□ 債権の消滅―相殺

□ 相殺の要件

〇 債権が対立していること

 相殺者と被相殺者との間で債権(債務)が対立していることが

必要です。甲は乙に債権を有し、乙は甲に債権を有している場合に

その対等額でチャラにすることができるのです。

甲が乙に債権を有し、丙が甲に債権を有していても相殺は不可です。

 

 抵当不動産の第三取得者丙は、自己の抵当権者甲に対する債権を

自働債権とし、抵当権者甲の債務者乙に他する債権(抵当権の被担保債権)

を受働債権とする相殺はできません(判例)。

 

・自働債権=相殺しようとする者が被相殺者に対して有する債権

 受働債権=相殺しようとする者が被相殺者に対して負担する債務

      (被相殺者が相殺者に対して有する債権)

なお、双方の債権は、有効に存在していることが必要です。

片方の債権が存在しなかったり、無効であるときは、相殺の効力は

生じないことになります。

 

・受働債権が消滅時効にかかった場合

 自己(相殺者)は、時効の利益を放棄すれば相殺できる。

(放棄しなければ債務を免れるのにあえて弁済する形)

 

・相殺適状後に自働債権が時効消滅した場合

(相殺者の債権が時効消滅したということ)

 この場合、相殺しようとする者は、相殺適状後に時効消滅した債権を

 自働債権とする相殺をすることができます。

(当事者は相殺するものと考えるであろうから)

 

 ただし、自働債権(にしようとする債権)が消滅時効にかかった債権

を譲りうけたものであった場合は、相殺できません。

(時効完成前に相殺敵状にあったわけではない)

 

〇―2 対立する両債権が同種の目的を有すること

〇―3 双方の債権が弁済期にあること

〇―4 債権の性質が相殺を許すものであること

 

 

 

 

相殺(今日のメモ)

□ 債権の消滅―相殺

□ 相殺

  甲は乙に売買代金50万円を支払う債務を有し

乙は甲に30万円の借金がある場合に、

対等額については消滅させ、差額20万円を支払うこと

で決着をつけるほうが簡単です。

この対等額で消滅させることが相殺です。

 

〇 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合に

おいて、双方の債務が弁済期にあるときは、

各債務者は、その対等額について相殺によって

その債務を免れることができる。

 ただし、債務の性質が許さないときはできません。

 

 相殺は当事者の一方から相手方に対する意思表示によって

します。この意思表示に条件や期限を付すことはできません。

相殺の効力は、双方の債務が互いに相殺に適するようになったときに

さかのぼって生じます。℮