債務者がその債務の本旨に従った履行をしない時
又は債務の履行が不能であるときは、
債権者は、これによって生じた損害の賠償を
請求することができる。
ただし、債務者の責めに帰することができない事由に
よるものであるときは、請求することができない。
〇 債務の不履行
・ 債務の履行について履行期の定めがあるのに
履行しなかった場合(履行遅滞)
・ 履行したがその履行が不完全な場合(不完全履行)
・履行期に履行することがでかない場合(履行不能)
が債務不履行の類型です。
〇―1-1 履行遅滞
・債務の履行について期限を定めなかった場合
債務者は履行の請求を受けたときから遅滞の責任を負う。
(安全保証義務違背を理由とする損害賠償債務)
〇―1ー2 履行不能
不動産が甲と乙に二重に譲渡された場合において
買主甲が登記を備えた場合、
売主が乙に対して負う不動産の所有権移転義務は
履行不能となる。
債権者は、債務の全部の履行が不能であるときは
催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。
〇―2 債務不履行による損害賠償
・債務者に帰責事由がある場合に認められます。
(債務は履行することが当然の前提。債務者は自己に
責任がないことを証明しないと責任免れない)
・損害賠償の請求をすることができる場合において
つぎに掲げる場合は、債務の履行に代わる損害賠償の
請求をすることができます。(填補賠償)
ア、債務の履行が不能であるとき
イ、債務者が債務の履行を拒絶する意思を明確に表示
したとき
ウ、契約が解除され又は債務不履行による解除権が発生したとき
・家屋の転借人の失火により家屋の滅失、損壊があった場合
転貸人(賃借人)は、現賃貸人に対し
過失がなくても債務不履行責任を負う、
※ 甲が乙に家屋を賃貸した。(甲=賃貸人、乙=賃借人)
乙はさらに甲の承諾を得て丙に賃貸した。
(乙=賃借人=転貸人、丙=転借人)
(丙は、乙の履行補助者である)
〇―3 損害賠償の範囲
・債務の不履行によって通常生ずべき損害、の賠償です。
・特別の事情による損害であっても、当事者(債務者)が
その事情を予見すべきであったときは、
債権者は、その賠償を請求することができる。
予見すべき時期については、債務の履行期までに
予見すること(履行期後の事情を前もって知ること)
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